相違

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おいおい。 ノエルの奴、思考停止したか? 俺に魔術は効かないって事は、知っているだろう? 「今度は魔術か? 無駄だから止めておけ」 俺は一応ノエルに忠告した。 "一応"というのは、ノエルの反応が分かり切っていたからだ。 「絶対に嫌だ!!」 ですよねー。 頑なに、強情な奴だ。 ノエルは続ける。 「カズに魔術が通用しないからって、それが諦める理由にはならない」 「そうかよ」 「もう、こうなったら 私も本気を出す!!」 は? 今までのは、本気じゃなかったのか? ご冗談を。 「俺に適わないと分かってハッタリをかますとは、ヤキが回ったか?」 「勝手に言ってるといいわ 私の持つ最高位の魔術を刮目しなさい」 ほぅ……。 ノエルの奴、どうやら切り札を隠し持っていた様だ。 どんなに強力な魔術だろうが、それが魔術である以上、俺には通用しない。 「やれるものならやってみろよ」 俺が挑発すると。 「言われなくても!!」 その時。 ん? 俺はノエルから何かを感じた。 肌に感じる寒さ……。 これは、"冷気"? なんか、マズいかこれ? 俺は嫌な予感がして、念の為にノエルと距離を取った。 そしてノエルは、握り締めている杖を祈る様に見ていた。 「まだ未完成の魔術だけど…… 今なら、いける気がする いや、絶対にいける!!」 何をぶつぶつ言ってるんだ? どうやら、自分に言い聞かせている様だ。 その様子から、その魔術がいかに強大なものか察する事ができた。 俺が身構えると。 ノエルは杖を地面に突き立て、叫んだ。 「"氷魔法奥義" 『魔雪氷界陣・六花の舞』!!」
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