相違

99/105
前へ
/805ページ
次へ
この闇術の性質は、"人間らしい"事にある。 そして、今俺が使える闇術は。 "略奪"と"因果応報" "略奪"は、相手の魔術を奪い、跳ね返す術。 "因果応報"は、俺が受けた物理的ダメージを、相手にも与える術。 実にいやらしい術だな。 特徴としては、どちらも"受け側"の魔術となっている。 だったら、今度は攻めてみたらどうなるんだ? このどす黒い煙を、直接相手にぶつけるとどうなる? 恐らく、"略奪"や"因果応報"に似通った効果があるだろう。 例えば、相手の魔力を奪う……とかな。 その可能性は大いにある。 ククク……。 他人から奪った物を、自らの架せとして利用するなんて。 いかにも、人間らしいじゃねぇか。 そうと決まれば、多少無茶をしてでもノエルに攻めてみるか。 だが、ノエルの奴、隙がないんだよな……。 仕方ない。 隙がなかったら、隙を作るまでだ。 俺は、ノエルに動揺を誘う話題を持ち掛けた。 前々から不思議に思っていた事だ。 この世界に於ける、ノエルという人間の存在について……。 俺は、それがどうしても引っかかっていた。 「人間は魔力量が少ない……か 人間が劣等種である事は認めてるんだな」 「客観的事実よ」 「そうかよ それよりノエル "人間"という単語を聞いて、ふと気になったんだがな」 「なによ?」 「確かお前…… 捨て子だったよな?」
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加