相違

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ノエルは、家族と人種が違う。 それは、ノエルが拾われた子だったからだ。 初めて会った時、そこを指摘して怒られた事があったな。 今思えば懐かしい。 が、今はノエルの気持ちなんぞ知った事ではない。 俺はズケズケと、デリケートな話題に踏み込んだ。 俺の確認に、ノエルは。 「だ、だったらなによ?」 少し戸惑っていた。 よしよし。 いい反応だ。 「それを疑問に思った事はねぇのか?」 「どういう意味よ?」 「お前自身の出生について、考えた事はないのか?」 「私の出生……?」 「この世界の連中は、良くも悪くも聖人ばかりだ 果たして、我が子を捨てる様な奴が居るのか?」 「何が言いたいの?」 俺は、とある可能性を告げた。 「ノエル もしかしたら、お前は俺と同じで、"転送者"なんじゃないのか?」 俺のその発言に、ノエルは目を丸くして驚いていた。 「え!? そ、そんな事……」 「有り得ないと言い切れるのか? 現に、"転生者"はレイナと"獣の王・ミキ"の2名が居る "転送者"だって何人居てもおかしくないだろ?」 「そんな事って……」 「可能性は十分あると思うぜ? ノエルが赤子の時に、転送されたのだとしたら、お前が捨て子だった事に説明がつく」 「で、でも、それじゃあ カズと私の年齢が同じ筈がないわ! 時系列が合わないわよ!」 「おいおい、ノエル そんな理屈がまかり通るかよ "転送"なんてふざけた現象を、俺達の常識に当てはめて考えるんじゃねぇよ 転送中に時空の歪みとかなんとかあって、多少の誤差はあるんじゃねぇのか? 今から約20年前に、ノエルが転送されたって考えれば、辻褄が合う」 俺は、あくまでもノエルの隙を作る為に、動揺を誘う話を持ち掛けただけだ。 だが。 この話の内容は、案外俺の考察通りだと考えている。 さて……。 もうちょっと、話してみるか。 「ノエル お前が、禁足地を目指す理由はなんだった?」
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