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リューマの唇が重なって、その久しぶりの感触に私の心は溶かされるようだった。
リューマ……!
リューマ……!
会いたくて、会いたくて、
あなたがいなくなってからの半年間は本当に辛かった。
リューマがいなくなってしまう人生なんて考えられなかった。
こうやってまた会える事が出来たのに……
私の事を忘れてしまうなんて残酷過ぎるよ。
触れていたリューマの唇がゆっくり離れて
私は眼を開けた。
「ミユキの旦那って……」
リューマが遠くを見るような瞳で言葉を溢す。
「ゴメン。なにか思い出しかけたけど忘れた。……髪カットしてもらおうかな。」
リューマの瞳はスッと冷たさを潜ませるように感情が消えた。
そして私から顔を逸らした。
「…………」
それを見て、私の心は落胆していく。
思い出して……もらえない……。
また溢れてきそうな涙を堪えた。
私たちは腰を上げて、洗面台に向かった。
リューマは髪の毛がつくからと、上に着ていたシャツを脱ぐ。
露になるリューマの引き締まった上半身。
私は、慌ててカットクロスをリューマに羽織らせた。
直視できないほど、リューマの体はセクシーだった。
そして首元を髪の毛が入らないように締める。
リューマはスツールの上に座った。
私はシザーケースからハサミを取り出してリューマの髪をカットし始める。
リューマの柔らかくて真っ直ぐなストレートの髪。
久しぶりの感触だった。
リューマに触れて嬉しいはずなのに
気持ちはすごく複雑で、
専属スタイリストだったって事でしか私の存在を認めてもらえない事に
途方もなく、
気持ちが落ち込んでいく。
リューマは瞼を閉じて黙っていたけど、
しばらくして口を開いた。
「この感触、覚えてる。すごく心地いい」
「頭にはツボがたくさんあるから、少しの刺激でも気持ちがいいんだよ。」
「そうじゃなくて……ミユキに触れられてるのが心地いいんだよ」
「…………」
「ミユキ、またオレの専属にはならない?ロスに連れて行きたい。
……なんて、旦那が許さないか。こんなキスを仕掛ける男の傍になんか……」
リューマはフッと口元を歪ませた。
旦那って……リューマ、あなただよ?
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