27人が本棚に入れています
本棚に追加
「ミユキの旦那ってどんな人?」
リューマは瞼を閉じながら、訊いた。
「私の旦那さまは、イケメン過ぎて色んな女性から誘惑を受ける人で……」
リューマの髪をコームですくって、カットする。
「私はいつもそれで傷つくんだけど、本人はあまり自覚なくて……」
「…………」
「エッチで変態で、イクメンになるって張り切ってて……」
そこまで言って、なんだか辛くなってきた。
目の前の本人の事を言ってるのに
リューマは無反応に静かに耳を傾けている。
そして口を開いた。
「ミユキはその旦那を愛してる?」
「もちろん……」
「じゃあ何で、オレとキスすんの?」
「…………」
リューマは目を見開いて鏡越しに真っ直ぐ私を見て捉えた。
リューマの色素のない綺麗な瞳が揺れているように見える。
「それは……」
本当の事……言ってしまおうか……
リューマは私の旦那さまなんだよって……
ドキドキと胸を高鳴らせながら口を開きかけた。
「ミユキが、旦那を愛してるって、そうゆう風には見えない。
アシスタントの男と一緒に行動したり、オレとキスしたり……
結婚してる自覚あるの?」
リューマの冷ややかな声が、私の胸を刺す。
私を蔑んでいるような言葉の響き。
そんな風に思われるなんて……
「だいたい、旦那いるのに、こうやって他の男と二人っきりでホテルにいないよね?」
「…………」
「メール貰った時、まさかミユキが、既婚者だったなんて思いもしなかったし」
リューマの言葉は刺々しく響いて、私を突き刺した。
カットを終えると、私は複雑な思いでリューマのカットした髪の毛をクロスから払った。
「オレ、このままシャワー浴びるけど」
リューマはクロスを外す。
褐色の肌の逞しいリューマの上半身。
「ミユキも一緒にシャワー浴びる? ジャグジーもあるし」
リューマの発した言葉に耳を疑う。
「別にさ、ミユキに旦那がいようが、ミユキもオレに興味あるなら、いいんじゃない?」
リューマは私の髪に触れて、その指は私の頬をなぞり、
そして唇に触れた。
その行為に私の心臓は騒がしくなる。
艶っぽい眼差しが向けられて、
私は複雑な思いが入り交じりながら唇を噛んだ。
「ミユキに触れてたら、オレ、欲情してきた。なんでかな。」
リューマの変貌ぶりに驚いて、固まったまま動かない私に、リューマは顔を近づけて、唇を重ねてきた。
最初のコメントを投稿しよう!