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「やめない……。
ミユキは狡いよな。オレの気持ちを知っていながら、
オレに傍にいてくれとか……平気で言えちゃうんだから。
それでいてキスするな……なんて、どれだけオレの事、弄ぶ気?」
ヨシの皮肉めいた言葉と共に
唇が鎖骨の辺りをなぞっていく。
抵抗しようにも
ヨシに腰をガッチリ固定されて
片腕をしっかり捕まれていた。
ヨシ……やめて……!
唇になぞられたカ所がジンワリ熱を帯びていく感じがして、本当にイヤだと体が拒否していない事に
自分自身驚いて
体が硬直した。
ヨシの唇が心地いい……。
リューマ以外の唇なのに。
私……欲求不満だったの……?
唯一、自由が利く左手の拳で、トントンと抵抗してヨシの腕を打ちつけるけど
ヨシにしてみたら、全く阻止されてる内に入らず
唇はエスカレートして下へと移動していく。
顔にカァ……!っと血がのぼっていき
どうしようもない恥ずかしさと
刹那的な感情が押し寄せてきて
身動きする事もなく
脱力してしまった。
「あれ……それって誘ってくれてる?」
ヨシが脱力した私を抱き抱え
嬉しそうに声を弾ませた。
「誘ってないっ!」
私は力のある限り、振り絞って声を張り上げた。
腰が抜けたように力が入らなくなりながらも、ヨシを見上げて思いっきり睨み上げた。
「ヨシ! 金輪際、ここのマンション立ち入り禁止!」
私の剣幕に
ヨシは困ったようにフッと笑って
「あーあ。こんなつもりじゃなかったのにな。
ミユキに警戒心持たれないように今まで頑張ってきたのが水の泡。
自業自得だな。
ごめん、ミユキ。 オレ帰るから。」
ヨシはアッサリとそう言うと
玄関で靴を脱ぐ事もなく
ドアノブに手をかけて、扉を開けた。
本当に帰っちゃうんだ……
立ち入り禁止と言葉を投げつけたけど
そう近くもないのに、ここまで来てくれたヨシに
なんだか申し訳ない気持ちになった。
「…………」
でも、言った手前言葉が何も出てこず。
「戸締まりちゃんとして寝ろよ」
柔らかい笑みを浮かべて、ヨシは出て行った。
私は腰が抜けたまま
その場にしゃがみ込んだ。
私サイアクー!!!!
欲求不満ー!!!!
ヨシの唇がイヤじゃなかった!
ヨシに触れられる事に慣れすぎちゃったから?
ヨシの言う通り、狡いとか弄んでるとか言われて当然なくらい
私、サイアクだっ!!!!
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