第1章

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翌日、リューマから場所の指定のメールが来た。 それは、リューマが宿泊するホテル。 もしかして……部屋でカットするって事なんだろうか? その日は1日中そわそわしていて、明日の事で頭がいっぱいになった。 とりあえず、メンズのヘアカタログを手に取り、リューマの髪をどんな風にカットしようか空想した。 俳優さんだし、みんなに注目を浴びる人だし、下手なカットはできない。 リューマはいつも私にお任せだったから どうゆうスタイルがいいか訊いても 本人はよく分からないかもしれない。 それより リューマに会える…… リューマに触れられる…… 結婚前のリューマと私に戻ったみたい。 リューマはみんなに注目される人で 私はただのスタイリスト。 でも、もうそれだけの関係でも幸せだ。 そう思ってしまった。 リューマを独り占めしている私は贅沢過ぎたんだ……。 半年近くも離れていたから、 リューマとの結婚生活が 幻だったんじゃないかって気さえしてくる。 お腹の中にいるリューマの赤ちゃん。 リューマが記憶を取り戻したら、 性別を教えてあげよう。 私はその瞬間を思い浮かべては、フフフ……と1人でニヤニヤしていた。 そんな幸せな空想に浸っていたら スマホの鳴る音で現実に引き戻された。 「もしもし」 『明日どうなった?場所はどこ?』 ヨシの急かすような声。 「リューマの宿泊しているホテル」 『マジで。ミユキを部屋に入れるのか?』 「知らない……」 『カットする場所って美容院じゃないんだろ?お店から必要な道具持ってくけど?』 「あ、そうだね。ありがとう。カットクロスと、一応ツーブロにする可能性も入れてバリカンと、そしてトリマーと……」 『了解。そしたら明日、駅で待ち合わせするか』 「うん……」 リューマと二人だけの感動の再会にならない事に少し不満が残るけど ヨシが傍にいてくれる方が 色々と助かるし安心だから 我慢する事にした。
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