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朝食の後片付け、洗濯物を済ませ僕は学校に行く支度をした。ごみ袋を持ち部屋の鍵を閉めて、エレベーターに乗りマンションのエントランスについた。
「おはようございます。久我君。」
「おはようございます。斉田さん。いつもご苦労様です。」
「オーナーから任されている仕事をしているまでですよ。」
エントランスで、掃き掃除をしているおじさんはオーナーから雇われた管理人さん。このマンションの住人の顔と名前を覚えていて毎日会う度に朝昼夜関係無く挨拶をしてくれる出来た人。
「斉田さんの顔を見ないと元気出ませんよ。行ってきます。」
「いってらっしゃい。久我君。」
斉田さんは、僕を久我君と呼ぶ。他の人は、慶佐さんと母の旧姓である橘君と呼んだりするのに斉田さんだけは違った。
「祐貴!オハヨウ。」
「司、おはよう。」
登校途中で、クラスメートで友人の浅井司に会った。司は、自転車を押して歩いている。
「なぁ、祐貴。今日も叔父さんにお弁当作ったのか?」
「ああ、作ったよ。おじさ・・・慶佐さんに、毎日お弁当作るの日課だからさ。」
「祐貴が、叔父さんの嫁になってないか?そうだ、俺にもついででいいから
弁当作ってくれよ。」
毎日、学校に昼の時間に食堂のパンと飲み物を急いで買いに行く司を見て不憫に思っていた。司のおばさんは、毎日パートと司の弟や妹の面倒で忙しいそうだ。
「慶佐さんから食費代もらってるから、司が慶佐さんに頼んでいいって言ったら作ってもいい。」
「本当か?じゃあ、今日祐貴の家に・・・って、今日祐貴バイトだろ?」
「司もバイトだぞ。」
「そうだったな。祐貴、今日からだから一緒に出勤だった。」
相変わらずお気楽マイペースな司だ。しかし、司は忙しいおばさんを支えるためにバイト代を生活費として渡している苦労人。弟や妹の子守りもして、いい兄だという事は分かっている。
「僕が、慶佐さんに司の弁当作っていいか聞いておく。親孝行している友人を放っておけないからな。」
「祐貴・・・お前、いい奴だな(笑)」
「久我、浅井。早く校門に入らないと遅刻にするぞ。」
「あっ、すみません。」
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