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スギ科のメタセコイアが並ぶ広場のベンチに座り、木々の葉が銅色や金色、燃えるような朱色に染まる美しい秋の景色に目を向ける。
「久しぶりにここに来たけど、相変わらず立派な木ね。もう少ししたら落葉しちゃうから、今が一番紅葉の見頃ね」
黄色と赤色の葉が色鮮やかに混ざり合う、高さ20メートル以上あると思われるメタセコイアを眺めて杏奈さんが呟いた。
「子供の頃はこの近くに住んでいたって、先生が言っていました。向こうのグランドでキャッチボールしたとか……杏奈さんも昔はこの公園で遊びましたか?」
「ええ、父と母とこの広場でよくボール遊びをしたわ。小学校の頃には友達と縄跳びしたり鬼ごっこしたり、一番身近な公園だったから。咲菜が言うニャンコの公園がまさかこの公園だったなんて。自分が子供の頃に遊んだ公園に姪を連れて来るなんて、思ってもみなかったわ」
杏奈さんは缶コーヒーの蓋を開けながら言って、その顔に柔らかな笑みを纏った。
アメリカ人のお母さんとこの杏奈さんが公園でボール遊びを……
先生と杏奈さんのお母さんは写真で見た事があるけれど、杏奈さんそっくりのグラマラス美女。クォーターの咲菜ちゃんでも日本人離れした可愛さなのに、ハーフである杏奈さんの幼少時代は更に輪をかけてプリティーガールであったに違いない。
そして二人が遊ぶその光景を見た者には、この庶民的な住宅街ではなく、カリフォルニア州の高級住宅街を連想させたに違いない!
「目立ってたでしょうね……」
「え?何が?」
「いえ、何でもありません」
頭に浮かんだセレブリティな映像を打ち消して、コンビニ袋から咲菜ちゃんのジュースとお菓子を取り出しながら表情に笑いを含む。
咲菜ちゃんは猫を探しているのか、木々の間を覗き込みながら周囲の探索に夢中になっている。
「ここってどうして野良猫が多いの?」
『散歩している猫にご飯をあげないでね』の看板の文字を見て、杏奈さんが首を傾げる。
「この公園に集まる猫は首輪を付けてて、この住宅街の飼い猫がほとんどみたいですよ。中には野良猫もいるでしょうけど」
「へぇ~。じゃあ本当に散歩してる猫ちゃんなんだ。飼い猫たちの溜まり場って訳ね。…あ、だけど野良猫に引っ掻かれたら大変。咲菜に容易に触っちゃダメって言わなきゃ」
杏奈さんが思い立った様に言って立ち上がる。
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