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彩愛がポツポツと歩いていると、
近寄った事のない南西の奥の方まで来てしまった。
裏山の南と西には川が流れており、崖になっている。
だから、子どもたちは
そこへ近づいていけないと言われていた。
どちらへ逃げるべきか迷い、
辺りを見渡した彩愛は物置のような小屋を見つけた。
薄暗い場所にあるその小屋は
子供心に陰気な感じで、彩愛は離れようと背を向ける。
その時、千夏の声がすぐ近くで聞こえる。
「健太っ、こっちには誰もいなかったわよ!」
「うっせーな!」
間近に迫ったその声に慌てた彩愛は
唯一、身を隠せそうな場所である小屋の中へ飛び込んだ。
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