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お姫様抱っこでユラユラ揺られ、彩愛は運ばれていた。
意識ははっきりしないが、
自分が誰かに運ばれていることは分かった。
そして、変な匂いが鼻についた。
少しすると、どこかでそっと下ろされた。
その仕草はとても優しく、微かに記憶を刺激した。
「お・・・・ぼ・・て・・・・・・・・」
聞き取れないような、微かな呟き。
彩愛は目を開けようとするが、身体が動かない。
小石を踏みしめて離れていく、
誰かの足音だけが耳の奥にこびりつく。
そして、
遠くで健太たちの声が聞こえたのを最後に
彩愛は意識を手放した。
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