プロローグ

5/5
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/700ページ
  遠のく意識の中、鼻に感じる程になった煙に 男はようやくタバコの火が消えていなかった事を思い出す。 男はチリチリと燃え始めたラグに 最後の力を振り絞り、這う。 でも、結局、 僅かしか動けず、男の意識は閉じていった。 最後に男が見上げた先。 それは、寝室で寝息を立てる最愛の家族。 逃げてくれ、と念じるまま、男は意識を手放した。 そして、泥棒が街外れまで来た頃、 雷と共に 消防車のサイレンが夜中の静けさを切り裂いていた。
/700ページ

最初のコメントを投稿しよう!