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遠のく意識の中、鼻に感じる程になった煙に
男はようやくタバコの火が消えていなかった事を思い出す。
男はチリチリと燃え始めたラグに
最後の力を振り絞り、這う。
でも、結局、
僅かしか動けず、男の意識は閉じていった。
最後に男が見上げた先。
それは、寝室で寝息を立てる最愛の家族。
逃げてくれ、と念じるまま、男は意識を手放した。
そして、泥棒が街外れまで来た頃、
雷と共に
消防車のサイレンが夜中の静けさを切り裂いていた。
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