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「 あっあの。詩名先輩っ 」
来たぞー。きたきたきた。
寝てるふりするのは・・・もう無理あるよね。目合っちゃってるし。
「 私・・・先輩の事が・・・・ 」
さーて、どうするかなぁ?なんて考えてたとこにまた誰かが教室に入ってきた。
「 しぃな~っ!最近全然部室に顔出してくれないじゃん。ね~ダラダラしてるなら来てよ~ 」
気の抜けるような、私を呼ぶ声。
シーナじゃない。詩名と呼ばれてる気もしない。
しぃな、と何か甘えるような発音で私を呼ぶ・・・もう、それだけで誰かわかる。
美術部の部長、つまりマユコだった。
「 しぃな~ほらぁ行くよっ。てか来てくれないと困るから来て! 」
「 て訳で、話中なのにごめんね~ 」
1年生の子はあっけにとられてぽかんとしてた。
私はマユコにぐいぐいと腕をひっぱられて廊下に引きずり出される。
うーん。助かったような、そうじゃないような。
私が部室に顔を出したくなかったのは、そこにはいつもマユコがいるからだった。
マユコは3年生。でも親同士が仲がいいから小さな頃からの付き合い。
ちなみに幼稚部からずっと、同じこの学園に通っている事もあって中等部までは授業中以外はだいたいいつも一緒にいた。
高等部に入ったマユコに彼氏ができるまでは。
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