第1章

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助けを求めているのか曖昧な友だちの表情と先刻の表情が思い出の中で重なった。 気まずげな顧問は同様に置き去りにした。 何時も相手は年上だ。 隣で吸っている煙草の灰が落ちそうになっているのに気づいて、 携帯灰皿を突き出すが、 動かない。 丘では笑っていたのに。 友だちは黙って歯を食い縛り泣いていた。 指から吸い差しの煙草を抜き取って灰皿に納めると、 震える肩を抱き寄せる。 昔から変わらない。 慰めか励ましか、 わからない動作だ。 もう、 必要ないと思っていた。
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