◇◇ 第6章 お互いの傷 - 2 ◇◇

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でも…… 「まだ、好き……なんですよね?」 悪いとは思いながらも、そっと傷口に触れる。 「んっ?」 グラスに向けられた白石部長の視線が、少しだけ揺らぐ。そして、何かを納得したように微笑みを浮かべると、ゆっくりと口を開いた。 「そうだな……『好きだった』だな」 進行形で尋ねた問いの答えは、過去形で返された。 「踏み込み過ぎました。ごめんなさい」 「いいや、構わないよ」 そう言うと、白石部長は、テーブルに置いていたスマホ画面をタッチしてアルバムを開いた。
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