◇◇ 第6章 お互いの傷 - 2 ◇◇

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表情や、物言いから、本気で好きだったことがわかる。 そして、本気でけじめをつけたんだってことも…… ーーなんて素直な人なんだろう。 「大人なんだから、もっとズルくてもいいのに……」 「そう?腹黒らしいんだけどね」 いつかの私の言葉を使い、笑ってみせた。 ーーこの人は強くて、そして優しすぎる人なんだ。 しっかりと自分を持って立つ白石部長は、とても眩しく見えた。 「……痛かった?」 「えっ?」 「心が……」 私は、まっすぐに白石部長の瞳を見つめ、いつの間にかギュッと握った手を胸に当てていた。
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