◇◇ 第6章 お互いの傷 - 2 ◇◇

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「……その痛みは……どうやって治せばいいの?」 許された心が、今まで誰にも聞けなかった想いを問いかける。 「ん?」 「治すことなんて出来るの?」 「……そうだな……」 白石部長は、グラスの氷を軽く揺すり、カランと小気味よい音をたてた。 「……時間、かな」 「時間?」 「そう、時間……。時の流れが心を癒してくれるはずだよ」 「時間……時が経てば、忘れられるの?」 「忘れるんじゃないよ。一緒に育てるんだ」 「……育てる?」 「そう。自分の成長の糧としてね」 「糧?痛みを糧に?」
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