◇◇ 第6章 お互いの傷 - 2 ◇◇

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「どうぞ」 「そもそも早川は、なんで派遣の道を選んだの?」 そこに来ましたか……だけど、この程度なら、まだ余裕で答えられる。 私は、ゆっくりと口を開いた。 「きっかけは、ズバリ就活の失敗です。 学校推薦ももらって、最終面接まで残ってたんですが、その日、たまたま通りがかった駅で、具合の悪そうなおばあちゃんに出会ったんです。 ほっとけなくてお声をおかけしたら、私の手を握ったまま吐血されて…… そのまま救急車に乗って一緒に病院へ行きました。 私自身もパニックで……携帯の入った鞄を落として来てしまったんです。 すでに、大遅刻だったし、連絡も取れなくて……アウトでした」
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