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口に出した途端、あの頃の切ない感情が心を支配する。
「単なる憧れだったのかもしれないけど……好きでした」
「そう」
穏やかで、最小限の相槌が、ゆっくりと私の言葉を迎え入れる。
「約6年前かな、初めての派遣先での事です。
当時の私からすれば、しっかり社会人している4歳上の彼は、とても頼もしく、大人に見えました。
派遣として新米だった私に、正社員の方と同じように一から基本を教えてくれて……
優しくて、気さくで……
好きになるのに理由なんて要らなかった……」
一度開いた扉からは、ぽつりぽつりと素直な言葉が落ちた。
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