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同時に、窓ガラスに映る、ぼんやりと景色を眺めながら話す自分の姿に、急に恥ずかしさが込み上げてきた。
「なんて、ちょっと昔の想い出です!」
自然と開いてしまった心の扉を慌てて閉ざすかのように、明るく言って紛らわせる。
「続けて」
「えっ……」
「遠慮しないで、今夜はとことんつきあうよ」
逃がさないよとでも言うかのように、穏やかな眼差しが、私を包んだ。
とても不思議な感覚を覚える。
これは、上司としての尊敬からなのか、人生の先輩としての信頼感からなのか、それとも、今夜生まれた不思議なシンパシーのせいだろうか。
私は信じられないぐらい素直な気持ちで、ずっと心の奥に閉じ込めていた想いを少しずつ紡ぎ始めていた……
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