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古びた書類の香りの中、カシカシと頭を掻いて、照れを隠そうとしていた彼。
突然の告白に戸惑いと恥ずかしさはあったけど、私は小さく頷いた。
「明日、仕事が終わったら食事に行こう」
「……はい」
「これ、約束な」
うれしそうな表情の彼が、そう言うと同時に、腕を引かれ、掬い上げられた顎。
そして、同時に重なった唇の感触。
女子高から短大までエスカレータで、異性への免疫が全く無かった私が、初めて感じた温もりと、胸の高鳴り……
情報ばかりで頭でっかちだったものが、一気に現実へと変わった瞬間だった。
契約期間終了間近に貰った愛の告白と……キス。
ほのかに香るたばこの匂いが、私を大人な世界へと誘った。
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