◇◇ 第6章 お互いの傷 - 2 ◇◇

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******* ぼんやりと目に映っていた夜景が、少しずつ色を取り戻す。 「そもそも、そんな大したことじゃないって、今の私だったらわかるんですけどね」 カクテルのグラスの底を、ストローでトントンと突く。 「でも、あの時は、就職失敗していたうえに、女としても軽く見られてたのかって……私、全然ダメじゃんって、烙印押された気がして。 まあ、彼の言葉も聞かず、逃げ出しちゃった自分も自分なんですけど」 「……その後、彼とは?」 「彼にはまだ、連絡先も教えてなかったし、こっちから確認する勇気もなくて…… あまりに負の要素が重なっちゃって。気持ちが落ちてただけに、消化できなかったのかな…… きっと、純粋だったんですよね」
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