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ぼんやりと目に映っていた夜景が、少しずつ色を取り戻す。
「そもそも、そんな大したことじゃないって、今の私だったらわかるんですけどね」
カクテルのグラスの底を、ストローでトントンと突く。
「でも、あの時は、就職失敗していたうえに、女としても軽く見られてたのかって……私、全然ダメじゃんって、烙印押された気がして。
まあ、彼の言葉も聞かず、逃げ出しちゃった自分も自分なんですけど」
「……その後、彼とは?」
「彼にはまだ、連絡先も教えてなかったし、こっちから確認する勇気もなくて……
あまりに負の要素が重なっちゃって。気持ちが落ちてただけに、消化できなかったのかな……
きっと、純粋だったんですよね」
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