602人が本棚に入れています
本棚に追加
わざと明るく言い放ち、苦い記憶を洗い流すかのように、慌ててカクテルをチューッと吸い込んだ。
やっぱりどうかしてる、今日の私……今まで絶対に誰にも言えなかったのに。
詰まっていた心に風穴を開けたような開放感はほんの一瞬で、喋ってしまった事への気恥しさと後悔が複雑に絡み合う。
私は、気づけば言葉を失っていた……
「でも……痛かったんだろ?」
重い沈黙を破ってくれたのは白石部長だった……
「えっ……」
「心が」
「……うん」
穏やかに渡された言葉に、素直な自分が答えている。
「ずいぶん、頑張ってきたんだな」
「……」
最初のコメントを投稿しよう!