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「いつもおひとりなんですか?」
「まぁね。でも、ここに座るのは初めてだよ。いつもはカウンターが指定席だから」
視線の先を振り返れば、そのいつもの特等席らしきところでは、老紳士がひとりグラスを傾けている。
「あの方は素敵な雰囲気ですけど……」
「けど?」
「白石部長おひとりの姿を想像すると、ちょっと淋しいですね」
「余計なお世話」
軽く冗談を言い、笑い合うと、なんだかホッとしてくる。
「では、今夜は、せっかくの機会ですので、ゆっくり景色を堪能させていただきます」
「どうぞ、ごゆっくり」
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