◇◇ 第6章 お互いの傷 - 2 ◇◇

8/38
前へ
/39ページ
次へ
相変わらず分かりづらい気遣いをみせるお隣さんに、すかさずグラスを差し出した。 「チョコの前に、果物をどうぞ」 「いいの?」 「さすがに、ひとりでこんなには無理ですから」 「では、遠慮なく」 私はいちごを、白石部長は皮付きのオレンジを取り、みずみずしさを味わった。 ストローでオレンジの海をチューッと吸えば、少しシャリシャリしたカクテルが流れ込む。 「うーん。冷たくて美味しい」 「それはよかった」 「素敵な『お礼』をありがとうございます」 美味しいカクテルと、素敵な雰囲気が、私の心を素直にさせる。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

601人が本棚に入れています
本棚に追加