◇◇ 第7章 理想の上司 - 1 ◇◇

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視線が、制服の上に羽織っている薄手のカーディガンのポケットに注がれている。 ふっくらと膨らみ、少し垂れ下がったポケットには、自分用にと一緒に買った缶コーヒーが入っていた。 「いえ、お邪魔ですから」 「じゃ、俺からの業務命令。ちょっとひと息入れたかったんだ。ここで飲んでって」 優輝さんは、机に置いた缶コーヒーを手に取ると、うーーーんと伸びをして立ち上がり、窓辺に向かって歩みを進める。 「ほらっ、早く」 じっと立ち止ったままの私に、振り返った優輝さんが、促すように誘う。
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