638人が本棚に入れています
本棚に追加
視線が、制服の上に羽織っている薄手のカーディガンのポケットに注がれている。
ふっくらと膨らみ、少し垂れ下がったポケットには、自分用にと一緒に買った缶コーヒーが入っていた。
「いえ、お邪魔ですから」
「じゃ、俺からの業務命令。ちょっとひと息入れたかったんだ。ここで飲んでって」
優輝さんは、机に置いた缶コーヒーを手に取ると、うーーーんと伸びをして立ち上がり、窓辺に向かって歩みを進める。
「ほらっ、早く」
じっと立ち止ったままの私に、振り返った優輝さんが、促すように誘う。
最初のコメントを投稿しよう!