◇◇ 第6章 お互いの傷 - 3 ◇◇

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*** 「今日は、ごちそうさまでした」 ホテルの外に出れば、秋へと少しだけ近づいた、生暖かい風が私たちを迎える。 さっきまで見下ろしていた煌めく景色に、自分が溶け込む。 「少しはスッキリしたかな?」 並んで歩みを進めながら、白石部長が穏やかに尋ねた。 「おかげさまで……ありがとうございます」 なんだか、背中の重い荷物を降ろしたような気分の私は、ずいぶんと晴れやかな顔をしているはず。 「白石部長こそ、スッキリしました?って……すでにご自身で解決されてましたね」
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