◇◇ 第6章 お互いの傷 - 3 ◇◇

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「ん?……いいキッカケをもらったよ。ありがとう」 見上げた先に映る微笑みは、いつも通りに穏やかで優しい。 「白石部長、大丈夫ですからね。私、黙ってますから」 「ご心配なく、俺も黙ってますから」 照れ隠しも兼ねて丁寧に言葉にしたつもりが、まるで、子ども同士の約束のように、オウム返しで手形を渡される。 「ふふふ……」 「ははは……」 どちらからともなく、笑いが溢れた。 「優輝……」 「はい?」 「これからは、優輝でいいから……」 「えっ!?」
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