◇◇ 第6章 お互いの傷 - 3 ◇◇

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優輝さんの顔が、バレてたかと言わんばかりにクシャリとした笑顔になる。 「じゃあ、ここで。おやすみ早川」 「おやすみなさい、優輝さん」 右手を挙げて、屈託なく笑う優輝さんに、思わず手を振った。 「いい笑顔だ!」 指摘されて、ショーウィンドウに映る自分の表情を確認すれば、目一杯笑って手を振る、無邪気な自分が目に入った。 恥ずかしさで、一気に顔が熱を帯びたが、夜だからなんとかごまかせそう。 ーーよかった夜で…… さりげなく手を下げ、ペコリと一礼してすました顔を上げれば、顔をクシャクシャにして笑う優輝さんが見えた。
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