◇◇ 第6章 お互いの傷 - 3 ◇◇

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自然と溢れる笑顔に、笑い声も加わり、いつの間にか手を振り合う。 やがて、どちらともなく背を向け合うと、お互いに家に向かって歩き始めた。 いつも通りに歩いているのに、気持ちが上を向いているからだろうか?自然と夜空が目に入って来た。 いつぶりだろう? 久しぶりに見上げた夜空は、晴れ渡り、星がいつになくたくさん輝いて見える。 こんなに自分の過去と、きちんと向き合ったのは初めてだった。 特に田所さんの事は、ずっと忘れたフリして、目を背けてきたから。 「感謝か……」 優輝さんがくれた言葉と、表情を思い出し、ぽつりと呟いた。
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