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一礼して退室しようと歩き出した途端、声に引き止められる。
「はい」
「今年のクリスマス・イヴって予定ある?」
「……えっ……」
不意打ちの言葉に、振り向いた半身の姿勢のまま、思わず固まった。
優輝さんが、両肘を長机に着き、組んだ手の上に顎を乗せ、まっすぐな眼差しを向けている。
「……あの、それは……」
完全に準備不足の心臓が、ドキドキと勝手に走り回る。
その時、優輝さんの肩がわずかに揺れ、右の口角が軽く上がるのを見逃さなかった。
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