610人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふーーーっ」
ーーこんな事なら、地下で乗ればよかった。
走り出した車の中で、ひとり後悔する。
「ずいぶんと大きなため息だな」
「すみません」
「田所さんと何かあった?」
なんだか、予想外の問いかけに、面食らう。
「いいえ……何も」
「そう?何か考え込んでた風に見えたから」
確かに間違ってはいないが、今のため息はそれとは違う。
「どした?」
さらに問いかける優輝さんに、私は勢いよく言い放った。
「どうもこうもありませんよ。私、刺されるかもしれません」
「誰に?」
最初のコメントを投稿しよう!