◇◇ 第11章 同行デート - 1 ◇◇

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揺れ動く心は、平衡感覚を失って、実に頼りない。 ーーしっかりしなくては! 「……早川」 自分の世界に浸っていた私は、今度は、一気に『今』に引き戻された。 「は、はい!」 ふっと景観を眺めれば、目の前に広がるのは、一面の森。 そして、緩やかに車の速度が落ちてゆく。 脇道の入り口の木製の大きな看板に、洒落た字体で書かれた店名が見えた。 ーーRifugio?リフージョ? 「そろそろ着くよ」 敷地の駐車場に向かって、速度を緩める優輝さんが言う。 「リフージョ……?」 「ああ。イタリア語で『隠れ家』だよ」
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