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揺れ動く心は、平衡感覚を失って、実に頼りない。
ーーしっかりしなくては!
「……早川」
自分の世界に浸っていた私は、今度は、一気に『今』に引き戻された。
「は、はい!」
ふっと景観を眺めれば、目の前に広がるのは、一面の森。
そして、緩やかに車の速度が落ちてゆく。
脇道の入り口の木製の大きな看板に、洒落た字体で書かれた店名が見えた。
ーーRifugio?リフージョ?
「そろそろ着くよ」
敷地の駐車場に向かって、速度を緩める優輝さんが言う。
「リフージョ……?」
「ああ。イタリア語で『隠れ家』だよ」
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