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なにも、こんな渦中の最中、たった今、自分の気持ちに気づいてしまう……いや、自分の気持ちを認めてしまうなんて……。
溢れて出てくる優輝さんへの想いは、もう抑える事が出来ない。
私のすべては、優輝さんへの想いでいっぱいになっていた。
「……ごめん」
わずかな間が空き、風に吹き飛ばされてしまいそうな田所さんの小さな声が届いた。
「いえ……」
「美紅……少しだけ」
ゆっくりと腕を引かれ、私は、田所さんの胸の中におさまった。
大きな腕の中は真綿のように温かくて、でも哀しい。
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