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ゆっくりと、田所さんの大きな手が、私の頭を撫でる。
「焦りすぎた……かな」
ぽつりと零れた田所さんの言葉を、心で受け止める。
「昔からそうだ。俺は、ただ、まっすぐに向かうだけで、脳がない。
言われたんだよ。美紅の担当の……そう、前園さんに……」
「園さんに?」
「どうしても美紅に会いたくて、会って気持ちを伝えたくて……何度も派遣先に連絡入れて……我ながら、かなり迷惑かけたと思う。
でも、最後に、前園さんはそんな俺と会ってくれた。
そして彼は、ただ、会わせろの一点張り俺に、男としての苦言を呈してくれたんだ……」
「苦言?」
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