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田所さんの眼差しは優しく、そして、穏やかな声で続けた。
「それも、俺の焦りが、美紅の心の奥底で眠っていた気持ちに気づかせてしまったって感じかな」
あまりに図星で、言葉が出ない。
「俺にとっては、6年振りの奇跡の再会だったからね……
ちょっと夢を見すぎてしまったかな……」
「……田所さん」
「こうなったら、潔く応援するよ」
ゆっくりと、田所さんの大きな右手が、私の左頬を包む。
「美紅なら大丈夫。自分の気持ちに素直になるだけでいい」
優しく掛ける言葉に、私は、小さく頷いていた。
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