◇◇ 第13章 はじまる前の終わり - 2 ◇◇

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今朝は、満員電車でもみくちゃになる気分じゃなくて、いつもより早目に家を出て、会社まで歩くことにした。 と言うより実は、なかなか寝付けなかった挙句、ずいぶんと朝早くに目が覚めたというのが本当のところ。 会社が目の前に見え始めると、いつも通い慣れているにも関わらず、得体の知れない緊張感に覆われてきた。 ーーー優輝さんに会ったら、とにかく普通に振舞うべし。 小さな誓いを胸に秘める。 そして、神さまのイタズラは、突然、訪れた。 「おはよう、早川」 「!?」 横並びから、一歩前に出て、軽く顔を覗き込むのが、優輝さんのいつものスタイル。 眩しいほどの笑顔が、今朝はサングラスなしでは、まともに見れない。 「今朝は、ずいぶん早いね」 「……」 「どした?」
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