◇◇ 第13章 はじまる前の終わり - 3 ◇◇

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でも……こんな中でも、やっぱりいつの間にか自然に、素の自分を引き出してくれる優輝さん…… こんなに苦しい状況なのに、頬に触れた右手の感触に喜びを思えている自分。 あぁ、恋って科目は、本当に難しい。 大人になれば、何でも出来ると思っていたのに…… なのに、大人になったら、いつのまにか…… 言いたいことも、素直な気持ちも、そう簡単には伝えられなくて…… 子どもの頃の方が、自然体の自分でいられた気がする。 もちろん、子どもには子どもの、大人には大人の良さがある。 その狭間で、うまくバランスを取って進んでいかなくてはいけないのに…… 今の私は、どう進んでいいのかわからず、ただ立ち止っているだけ……そんな気分だった。
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