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すっかりリラックスした優輝さんの砕けた表情が……そして会話が……私から現実感を奪ってゆく。
徐々に道路脇の照明が少なくなっていき、ヘッドライトが照らす大きな光の輪が視界を支配していった。
私の知らない異次元の世界へ向かっているかのような、そんな感覚さえ覚える。
ーーこのまま、時が止まってしまえばいいのに……
ーーああ……このまま、遭難したい……
慣れない乙女心が、ここぞとばかりに神頼みをする。
しかし、必死の願いもむなしく、車は速度を急激に落とし始めた。
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