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まるで、水がろ過されて透明度を増してゆくように、胸の奥でくすぶっていた恋心までもが浄化されてゆくようだ。
ゆっくりと車の前に立つと、フワッとコートが掛けられた。
「えっ……」
「風邪ひかれちゃ困るからね」
「でも優輝さんは……」
「俺は大丈夫」
そう言って、キラッと眩しい笑顔を繰り出す。
ふんわりと優輝さんのコロンの残り香に包まれ、まるで抱きしめられているかのような錯覚に陥る。
「……こんな素敵な景色を、ありがとうございます」
「いや、俺も見たかったから」
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