二人旅

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「クレイ、お早う。今日も良い天気だね」  目を覚ますと、すでにクレイの姿がなかったので階下へ降りると、果たして食堂にいるのを見つける。 「お早う、まだ寝ていてもいいんだぞ。後で部屋まで朝食を持っていくつもりだったんだ」 「ああ、ありがとう。でも、こんな良い日にいつまでも寝てるなんて、もったいなくてさ」  帝都を出て2日、オレとクレイは順調に旅を続けていた。  ソフィアは予定通り先行していて、オレとクレイの二人旅だ。  考えてみれば、団が解散した後の傭兵時代は、こうして二人きりでずっと旅をしていたのだけど、あの当時と状況は大きく異なっている。  オレの身分もさることながら、男同士の気ままな旅ではなくなっていたからだ。 「しかし、お前の大胆さには呆れて物が言えないぞ。後でケルヴィン達に怒られても責任は持てないからな」  隣の席に座ったオレを見つめて、クレイは言葉とは裏腹にひどく残念そうに呟いた。 「でも、効果的な策だろう」  そう言うとオレは、すっかり短くなった自分の髪をなでた。
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