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「それはそうとリデル、二人とも同室というのは、やっぱり不味いんじゃないか?」
注文を終えたクレイは、オレに向き直るとまじめな顔で言う。
「どうして?」
「いや、表向きはともかく、実際は男と女なんだから、いろいろとその……問題があるだろう?」
「え、クレイとオレだぜ。何か問題があるのか?」
「いや、ないと言えばないというか……あるというか」
「はっきりしない奴だな。第一、仮にも男同士っていう触れ込みなのに二部屋とるなんて不経済だし、目立つことこの上ないぞ」
「そ、それは、そうなんだが……」
「なら、いいじゃないか。オレは別に気にしないぜ」
「……(俺が大いに気にするって!)」
クレイがげんなりしているのに気づかず、オレは気になっていることを聞く。
「で、クレイ。これからの予定、どうなってたっけ?」
オレの質問にクレイは『はぁ?』という表情をする。
「出発する前に大まかな旅程について説明してやっただろう?」
「あ? ああ。一応、聞いてたけど、あんまり覚えていなくて……」
「さては、お前。久しぶりの冒険に浮かれて、俺の説明を上の空で聞いていたな」
「そ、そんなことは…………ごめんなさい」
オレがあっさり降参するとクレイは苦笑いしながら、説明を始める。
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