2924人が本棚に入れています
本棚に追加
「何だ、坊主。傭兵か? 下らん横槍は止めておけ。痛い目を見るぞ」
「ふん、痛い目に合うのはどっちかな」
「何だと!」
腹を立てた隊長が剣の柄に手をかけ気色ばむと、他の護衛隊の連中もざわめいた。
「お姉さん、こっちに」
あたふたしている女の人の腕を引いて自分の後ろに下がらせると、オレは隊長に向き直る。
大柄な隊長はオレを見下ろすとせせら笑って言った。
「小僧! 後悔するぞ」
「そっちがな!」
「おいおい、何で、こう揉め事を起こすかな……」
一触即発のタイミングにクレイが諦め顔で、オレと隊長の間にのんびりと入ってくる。
「なんだお前は? 関係ない奴はすっこんでろ」
「まあまあ、そういきり立ちなさんな。一応、そいつの保護者って立場でね」
「何だと!」
恐ろしい形相でクレイを睨みつける。
クレイは涼しい顔で懐から小袋を取り出すと、回りから見えないように護衛隊長の男にそっと押し付けた。
最初のコメントを投稿しよう!