二人旅

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「何だ、坊主。傭兵か? 下らん横槍は止めておけ。痛い目を見るぞ」 「ふん、痛い目に合うのはどっちかな」 「何だと!」  腹を立てた隊長が剣の柄に手をかけ気色ばむと、他の護衛隊の連中もざわめいた。 「お姉さん、こっちに」  あたふたしている女の人の腕を引いて自分の後ろに下がらせると、オレは隊長に向き直る。  大柄な隊長はオレを見下ろすとせせら笑って言った。 「小僧! 後悔するぞ」 「そっちがな!」 「おいおい、何で、こう揉め事を起こすかな……」  一触即発のタイミングにクレイが諦め顔で、オレと隊長の間にのんびりと入ってくる。 「なんだお前は? 関係ない奴はすっこんでろ」 「まあまあ、そういきり立ちなさんな。一応、そいつの保護者って立場でね」 「何だと!」  恐ろしい形相でクレイを睨みつける。    クレイは涼しい顔で懐から小袋を取り出すと、回りから見えないように護衛隊長の男にそっと押し付けた。
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