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「突っ張った態度をとるのは賢明とは言えないない、坊主」
「あいにくと素なんで、変えようがないんだ」
「まあいい、悪いが我々と一緒に来てもらいたい」
「嫌だと言ったら?」
「多少、面倒なことになるな」
「へえ~、面白そうだね」
一触即発なオレ達にクレイが慌てて割って入る。
「待った! そこまでだ、リデル。あんまり事を荒立てるな。隊長さんも子どもの言うことを真に受けなさんな」
「む、それもそうだな」
冷静になった隊長が言う。
「ご領主様がお呼びだ。盗賊団のことで聞きたいことがあるそうだ。付いてきてくれ」
その命令にオレはクレイの顔に目を向けると、奴は頷いて答えた。
「行くのは構わないが、用があるのはオレ達だけだろう? メイエは残ってもらってもいいよな」
一瞬、考える素振りを見せた隊長は、すぐに首肯する。
「ああ、いいだろう。護衛の傭兵を連れて来いという命令だったからな」
「それは助かる。リデル、メイエさんもそれでいいな」
メイエさんが困った顔をしていたので頷いて安心させた後、オレは隊長さんに向かって言い放った。
「こっちも、男爵様に会いたかったんだ。案内をよろしく頼む」
クレイが小さなため息をつくのをオレは聞き逃さなかった。
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