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次の男爵はスレイドの隠し子である娘が継ぐことになるとの話だ。
そして、病床のゼノール男爵に代わってダレンがその後見人となった。
ダレンがスレイドを教唆していたことを知る者は男爵とオレ達だけだ。
なので、不自然に感じる人間は、ほとんどいないだろう。
「結局、ダレンの思惑通りになったわけか」
オレが理不尽さを感じているとクレイも感想を述べる。
「男爵としても苦肉の選択だが、しかたがないだろう。職を辞した政庁舎の職員を全員復職させても、彼以上に領地経営を任せられる人材はいないからな」
「でも、黒幕がのうのうとしているのは、ちょっと釈然としない気もする」
「それは俺達が考えることじゃないな」
クレイの言葉にオレも一応頷いた。
「うん、そうだね」
ここは男爵の領地だ。
全てを決めるのは領主の役目なのだ。
他がとやかく言うことはできない……。
でも、本当にそれでいいのだろうか?
今回のように領主が間違えることことだってある。
神殿や査察はあるけど、領民にとっては他者に頼るしか手段がない。
封建制ではそれが当たり前なのだけど、何か良い手立てがあるような気もする。
オレは、まだ見ぬ自分の領地……皇女直轄領のことを思い不安が募った。
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