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「ホントにお名残惜しいですぅ」
メイエさんが目をうるうるさせている。
オレ達はジュバラクを出立しようとしていた。
「盗賊団がいなくなったから、道中も安全だし薬草の値段も落ち着くだろうから、もう安心だね」
「はい、その上神殿から治療薬までいただいて、何とお礼を言っていいやら」
「ああ、気にしないで。危険な目に遭わせたお詫びだから」
「そんな……リデルさんには助けてもらってばかりで……」
「そんなことないさ。一緒に旅ができて楽しかったし」
「リデルさん……」
感極まったメイエが涙をこぼすと、いきなり抱きついてくる。
「はわわ……メ、メイエさん」
慌てて抱きとめたけど、動揺は隠せない。
だって、女の子の身体は柔らかくて良い匂いがするんだもの。
変な気分になっちゃうから。
あれ、ノルティにさんざん抱きつかれたけど、何とも感じなかったのに。
何でだろう?
オレが疑問に思っているとクレイが咳払いをする。
「ああ……そろそろ出発したいんだが」
「あ、ごめんクレイ。メイエさん、そろそろ出なきゃならないんだ」
「す、すみません」
顔を赤くしながらメイエが離れる。
「じゃ、元気でね」
「リデルさんも」
オレ達はジュバラクを後にした。
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