思わぬ結末

15/16
2926人が本棚に入れています
本棚に追加
/1300ページ
◇◆◇◆◇ 「ホントにお名残惜しいですぅ」  メイエさんが目をうるうるさせている。  オレ達はジュバラクを出立しようとしていた。 「盗賊団がいなくなったから、道中も安全だし薬草の値段も落ち着くだろうから、もう安心だね」 「はい、その上神殿から治療薬までいただいて、何とお礼を言っていいやら」 「ああ、気にしないで。危険な目に遭わせたお詫びだから」 「そんな……リデルさんには助けてもらってばかりで……」 「そんなことないさ。一緒に旅ができて楽しかったし」 「リデルさん……」  感極まったメイエが涙をこぼすと、いきなり抱きついてくる。 「はわわ……メ、メイエさん」  慌てて抱きとめたけど、動揺は隠せない。  だって、女の子の身体は柔らかくて良い匂いがするんだもの。  変な気分になっちゃうから。  あれ、ノルティにさんざん抱きつかれたけど、何とも感じなかったのに。  何でだろう?  オレが疑問に思っているとクレイが咳払いをする。 「ああ……そろそろ出発したいんだが」 「あ、ごめんクレイ。メイエさん、そろそろ出なきゃならないんだ」 「す、すみません」  顔を赤くしながらメイエが離れる。 「じゃ、元気でね」 「リデルさんも」  オレ達はジュバラクを後にした。
/1300ページ

最初のコメントを投稿しよう!