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街から出て馬を並べ進んでいるとクレイがしみじみと言う。
「前から思っていたんだが、お前女になってからの方が女にモテてないか?」
い、言うな。オレも薄々感じていたんだから。
男にモテるのはこの容姿だから想定内だったけど、女にモテるとは考えていなかった。
「なあ、女性って同性には厳しいんじゃなかったのか?」
女性は自分より綺麗な人が嫌いだとずっと思っていたので、少し意外に思っているのも事実だ。
「ああ、あれじゃないか……美人は美人だけど、お前って残念美人だから、嫉妬されないんだろう」
な、何だと。オレが残念美人だと。
「口調と行動が、全てを台無しにしてるからなぁ」
む、性格が男らしいのは認めるけど、酷い言われようだ。
オレがむっとしていると、クレイは気づかずに続けた。
「まあ、とにかくどうでもいいが、あんまり厄介ごとを起こすなよ。一応、極秘の旅行なんだから」
「もちろん、わかってるさ。目立たないように気をつけるよ」
オレは自信満々に答えたけど、すぐに後悔することになるとは、この時は思いもしなかった。
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