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☆
「で、どうなんだい、本当のところは」
目をキラキラさせながら、サラが追及してくる。
「だから、クレイの冗談でオレ達はそんな関係じゃありません」
さっきから、何度も否定しているのに、サラは一向に信じてくれない。
「いやいや、初めてあった頃のリデルは、ほんの子どもだったけど、それはもう可愛らしい子でねぇ」
「ほうほう、それで……」
「クレイ……!」
オレが睨みつけると、クレイはニヤけながらサラに言う。
「ね、照れると、すぐにこうやって怒るんです。可愛いでしょ」
「確かに! これはなかなか来るものがあるな……ああ、あたしの創作意欲が……」
「いいかげんにしろ!」
クレイとサラがオレをからかって楽しんでいることが薄々感じられて、ますます腹を立てる。
オレは乱暴に立ち上がると、出口に向かった。
「リデル?」
「うるさい。ちょっと、リーリムの様子を見てくるだけだ」
クレイがからかい過ぎを反省したのか、心配げな表情になる。
敢えて知らん顔して扉の前まで進むと、偶然にも扉を叩く音が小屋の中に響いた。
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