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「それはリデルにとって必要なことなのですね?」
「うん、そうだよ」
「では、仰せに従いましょう」
あっさりとヒューは了承してくれた。
騎士の立場として、他人に嘘を付くのは敷居が高い行為だと思ったのだけど、そうでもないのだろうか。
どことなく悪戯を企てる少年のような瞳をしたヒューに、頼んだオレの方が驚いてしまう。
まったく、ヒューといい、クレイにしてもオレに甘すぎると思うぞ。
「ありがとう、ヒュー。今、扉を開けるね」
オレはヒューを小屋の中へと招き入れた。
「な……」
オレを見たヒューが目を見張って呆然とする。
「ん、どうした?」
「リデル……貴女、髪はどうなされたのです」
しまった、ここにもロングヘア信奉者がいた。
「必要だったから切ったまでさ。そんなに驚くべきことじゃない」
「無念です」
おい! あんたが落ち込んでどうする。
オレという人間は少しも変わっていないのに、髪型一つで落胆されるのは納得がいかないぞ。
「どうやら、知り合いらしいが、あたしにも紹介してくれないかい」
オレが憤慨しているとサラが会話に加わってくる。
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