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「それにしてもその格好……あんた、もしかして『白銀の騎士』様かい?」
ヒューの格好はいつもの銀の甲冑姿だ。
師匠から譲り受けた代物で、軽いのにステュクス銀(魔鉱石の一種)より硬度があり、錆びない素材で出来ているのだそうだ。
今までは気づかなかったけど、皇帝神具継承者となったオレから見ればわかる。あれは間違いなく皇帝神具だ。
何類に属するかは判別できないが、たぶんかなり上位の物のように思える。
大方、ヒューのお師匠さんがオレの親父からもらった物なんじゃないだろうか。
その辺は想像の域を出ないが、とにかく常時着用していても、他人が思うほど苦にならない仕様になっているらしい。
まあ、トレードマークになるくらい、日常生活では浮いてしまっているけど……。
「いえいえ、違います。私は『白銀の騎士』に扮して見せる、しがない旅芸人に過ぎません」
ヒューはお願いした通りに答えてはくれたけれども……。
ごめんなさい、オレが悪かったです。とても普通の旅芸人に見えません。
「ただ、本物の『白銀の騎士』のようになりたいと……格好も立ち振る舞いも、そして信条も真似ているだけの人間です」
にこにこと笑うヒューをサラは真顔でじっと見つめる。
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